カリプソメディアより、 プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam、Epic Games Store)用ソフト『ダンジョンズ4』が2023年11月9日に発売された(PS5版は『ダンジョンズ4 デラックスエディション』としてパッケージ版が発売。Xbox Game Pass および PC Game Pass、スマートデリバリーに対応。Nintendo Switch版は発売日未定)。

本作は『ダンジョンズ』シリーズ最新作となるダンジョン運営リアルタイムストラテジー(RTS)。地下世界で英雄を迎え撃つダンジョンを作りながら、地上世界の制覇を目指す悪役側として活躍するゲームだ。

如何に敵を苦しめるかを考え抜くトラップの数々、パロディ満載なテキスト、コミカルなストーリーと見どころ満載な本作のプレイレビューをお届けしていこう。

パロディ満載のダンジョン運営RTS『ダンジョンズ4』レビュー。英雄を倒す悪役として極悪非道なトラップを作りまくれ!

※この記事はカリプソメディアジャパンの提供でお届けしています。

パロディ満載でユニークな物語

本作は『ダンジョンズ』シリーズの最新作だが、前作までをプレイしていなくても問題なく楽しめる。ストーリーや登場キャラは『ダンジョンズ3』から継続しているが、話の内容自体がコミカルかつパロディ満載で、フィーリングで楽しめるタイプだ。

冒頭のストーリーを簡単に説明しておこう。少し内容を知れば、バックグラウンドを知らずとも笑って遊べるゲームだとわかってもらえるはずだ。

プレイヤーが操作することになるのは、ダンジョンを支配するダークロード。『ダンジョンズ3』で地上世界をも支配したダークロードは、毎日パーティーに明け暮れていた。

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世界の支配も完了してもはや敵なし、と言いたいところだが、そこに登場するのが筋肉モリモリマッチョマンな変態……ではなく光の戦士トリスタン。地上に残った最後の希望、もとい今作の敵として何度も戦うことになる相手だ。

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序盤のチャプターでは、タリヤというキャラを操作してトリスタンを撃退することになる。トリスタンは撤退する際、インフィニットな雰囲気のするガントレットを落とし、それを入手したタリヤはダークロードに自慢するために指パッチンをしてしまう。

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とにかくパロディ満載で楽しい本作。写真は『アベンジャーズ』の“インフィニティ・ガントレット”か。セリフの“炎の錬金術師”はもちろん『鋼の錬金術師』のロイ・マスタング。

この指パッチンの影響でダークロードの肉体は消滅。トップに君臨したタリヤはまともにダンジョン運営をすることもなく、アッサリと無力化してトリスタンに捕まってしまう。そんな状況の中、ダークロードはタリヤ救出のため弱体化した状態で動き出し始めるというのが、序盤に語られるストーリーだ。

全体的にジョークやパロディ満載、ギャグテイストなストーリーになっているので、好きな人はゲラゲラ笑って、ときどきパロディでニヤリとしながら楽しめるだろう。

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プレイはチャプター形式で進んでいき、各チャプターごとに異なるマップでダンジョンを運営し、目標達成を目指していく。難易度も3段階あり、RTSに慣れていない人でも気軽に遊べる親切設計だ。

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細かな点だが、難易度のほかにナレーションのしゃべる頻度まで設定できたのも個人的にはうれしかった。しゃべる頻度を増やすと、「収録のギャラより交通費のほうが高い」などゲームと一切無関係な話題まで話し出すので、ソロプレイでも友人といっしょに遊んでいるような気分に浸れる。

一方で、真面目に黙々と遊びたいときは頻度を下げれば黙ってくれるので、その日の気分で調整しながらプレイできた。

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悪役らしく、徹底的にヒーローたちを苦しめるダンジョン運営

肝心のダンジョン運営についても、詳しく触れていこう。本作のプレイパートは、地下世界でのダンジョン運営、地上世界の侵略と大きく分けてふたつあるが、最初に重要になるのは地下でのダンジョン運営だ。

ダンジョンの中心部には心臓部(ダンジョンハート)があり、これを破壊するために英雄たちが地下へと侵入してくる。対するプレイヤー側は、ダンジョンハートを破壊されないようトラップなどを仕掛けて敵を迎え撃ちつつ、地上侵略のために資金繰り、戦力増強などを図っていく。

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スタート時点ではほぼ道や部屋がない状態なので、まずは壁を掘り進めてエリアを広げていくことになる。また、何をするにもゴールドが必要になるため、壁に埋まっている金脈を探して掘り進めていくのもダンジョン運営のポイント。

各種操作はわかりやすく、範囲指定でサクッと掘り進められるのでストレスフリーだ。掘る場所を指定したら、後は作業を担当するチビたちがリアルタイムで動いてくれる。そのあいだは見守っていてもいいが、べつの場所でつぎにやるべきことを探すのが賢い進めかた。

ちなみに、チビたちは平手打ちをすると一時的に作業スピードが上がるブラック仕様も搭載されているので、急いで作業を進めたいときはビシバシ叩きまくっていた。ふつうならドン引きされる所業だが、本作における我々プレイヤーはヴィランなのでトコトン悪どいことをしていいのだ。

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壁を掘ってゴールドを発掘したり、スペースができたらつぎは施設を増やしていく。序盤だとゴールドを補完する金庫や、クリーチャーたちの食事として七面鳥などを作っていくのがセオリー。

ちなみに、各施設やトラップのフレーバーテキストもひと癖あり、パロディネタがこれでもかと盛り込まれている。

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もはや通じる人のほうが少なそうなネタまでテキストに使われている。
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掘り進めたスペースに金庫や食糧庫を作って、ダンジョンのインフラを整えていく。

ある程度インフラが整ったら、つぎは英雄たちを迎える準備をするパート。ゴールドなどの資源を使うと、ダンジョン、モンスター、悪魔、アンデッドの4項目から好きなもののレベルを上げられる。

ここでレベルを上げて新たな施設を作れるようになったり、戦闘で使うクリーチャーをアンロックしていく仕組みだ。最初はダンジョンのレベルを上げて、トラップを作れる状態にするのが基本的な動きかたになる。

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ゴールドや資源が溜まってきたら、いよいよ本作のキモとなるトラップ作りだ。トラップは壁や床に設置することができ、ダンジョン内に侵入した敵にダメージや妨害効果を与えてくれる。

わかりやすいものだと移動速度を落とすスライムの床、継続してダメージを与えるノコギリのついた壁といったものが存在。これらのトラップを好きなように配置して、敵がダンジョンハートに近づけないように工夫をしていく。

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「せっ……押せっ……!」はおなじみ『賭博黙示録カイジ』の鉄骨渡りのシーンから。

英雄たちの侵入経路は限られているうえ、壁や道はある程度自分で調整できるため、地下世界では圧倒的なアドバンテージがある。英雄たちに迷路のような道を進めさせたり、トラップ地獄に誘ったりとやりたい放題だ。

長い直線にひたすらトラップを仕掛けてジワジワHPを削る、一方的に敵を叩ける環境を作るなど悪役としての思考が試される。自分が考えたトラップにまんまと引っかかって、朽ち果てていく英雄たちを見てニヤニヤするまでがルーティーンだ。

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壁を作って長い直線ルートだけに限定すれば、トラップ地獄の出来上がり。
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迎撃するまでもなく勝手に倒れていく英雄たち。工夫次第では、放置していてもすべて処理してくれる。

また、トラップはただダメージを与えるだけでなく、周囲の地形を利用することでさらに可能性が広がっていく。たとえば相手を3マスぶん吹き飛ばす転倒トラップを溶岩の真横にセットすれば、溶岩のスリップダメージとのコンボが発生する。

確実に転倒トラップに引っかかるよう足場をスライム床にして、ドアも設置して足止めをするなど、工夫すればするほど、それがうまくハマったときに得られるカタルシスは大きい。

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必要になる資源の量は増えるが、さらに大規模な仕掛けやユニークなトラップも用意されているので、難しいステージほどダンジョン運営の手応えも増していく。トラップを仕掛けたり、自分だけの秘密基地を作るのが好きな人にはとくに刺さるシステムだ。

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トラップだけでなく、ダンジョンに入った敵の迎撃や後の地上世界侵略のために欠かせないクリーチャーも、自分で任意の部隊を作り出せる。モンスター、悪魔、アンデッドの3項目を研究すると、それぞれジャンルの異なるクリーチャーたちを雇用して、戦闘で使えるようになる仕組みだ。

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使うクリーチャーにはそれぞれ特徴があるため、好みやステージ構成によって選ぶことになるだろう。大まかな分類だとモンスターはゴールドだけで運用可能で序盤から扱いやすく、悪魔はマナが必要になるが簡単に復活できる。アンデッドは敵を倒すことで有利になるといった特徴を持つ。

各クリーチャーを使えるようにするにも大量のゴールドが必要になるため、すべてを使うのではなく、特定のクリーチャーをメインで使うほうが安定はしやすい。個人的には楽に復活できる悪魔が扱いやすいと感じた。

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資源を溜めて兵力を増やしつつ、ときどき襲来する英雄たちを迎撃する。ここまでが地下世界でのプレイサイクルになるが、問題なのが金鉱脈の枯渇だ。ゴールドは無限に増えるわけではなく、枯渇してしまえばジリ貧生活が待ち受けている。

そうならないよう、お金が減ってきたらひたすら暗闇を掘り進めて新たな金脈を探すことになるのだが……。運が悪いとクモの巣やドワーフたちの拠点とぶつかり、戦闘が発生してしまう。クモは大した問題ではないが、ドワーフたちはかなり戦闘力も高いので、できれば穏便に済ませたい。

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闇雲に掘りまくると、敵と遭遇して余計な戦闘が発生してしまう。戦力の少ない序盤に遭遇すると最悪だ。
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新しい金鉱脈が発見できたときの救われた感が凄まじい。

途中トラブルに見舞われつつ、戦力が整ってきたらいよいよ地上侵略のときだ。準備したユニットをダンジョンの出入り口まで運ぶと、地上世界へと移動できる。

画面左下、右下にはつねに地上、地下のマップが表示されており、どちらを操作するかはすぐに切り換え可能。やや操作が忙しくなるが、地上で進行部隊に指示を出しつつ、ダンジョン運営を続けられる。

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左下が地上マップ、右下が地下マップ。地下に侵入者が来ればすぐにわかる。

途中トラブルに見舞われつつ、戦力が整ってきたらいよいよ地上侵略のときだ。準備したユニットをダンジョンの出入り口まで運ぶと、地上世界へと移動できる。

画面左下、右下にはつねに地上、地下のマップが表示されており、どちらを操作するかはすぐに切り換え可能。やや操作が忙しくなるが、地上で進行部隊に指示を出しつつ、ダンジョン運営を続けられる。

パロディ満載のダンジョン運営RTS『ダンジョンズ4』レビュー。英雄を倒す悪役として極悪非道なトラップを作りまくれ!

また、地上には第三勢力として善なる存在やボスキャラが出現することも。ムリに倒す必要はないが、撃破に成功すれば研究レベルをさらに上げられる資源などが獲得できる。モンスターとの戦闘もオート任せでいいが、敵が大技を使用する際は攻撃範囲が表示されるため、余裕があればユニットを誘導して回避させたい。

難易度が高いステージだとひと筋縄ではいかないため、十分な戦力を用意したうえで、適時ユニットに指示を出していく手に汗握るバトルも楽しめた。

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地上と地下、ふたつのマップを同時に攻略していくシステムは一見難しく感じるかもしれないが、実際に遊んでみるとわかりやすく、RTSにさほど慣れていなくてもすぐに理解して楽しめた。好きなようにトラップを仕掛けたり、少しずつユニットを育てて地上侵略の準備をしていくことにやり応えを感じられるので、興味のある人はぜひ実際に触れてみてほしい。

また、今回はソロプレイだったが、本作はマルチプレイにも対応している。ふたりでいっしょにダンジョンを作っていくのもおもしろそうなので、フレンドを誘ってプレイしてみてはいかがだろうか。

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