歓声以外にBGMなし、アクションゲーム要素なし、試合シーン以外は抑揚のないゲーム画面、膨大なデータ群など、まさに“硬派”としか言いようがないサッカーシミュレーション『フットボールマネージャー2024(以下、FM24)』。

海外ではとくに人気が高い本シリーズ。前シリーズ『チャンピオンシップマネージャー』から続く長寿タイトルで、選手やクラブのデータのアップデートのほか、ゲームシステムの調整・改善が図られた新作が毎年発売されています。

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超硬派サッカーシミュレーション『フットボールマネージャー2024』レビューをシリーズ累計で1万時間遊んだ人が書いたら「負けられない戦いがここにある」と言わんばかりの大作になった
メインのゲーム画面。チームに所属している選手のデータの一部が表示されています。硬派な雰囲気を少しでもご理解いただければ。

2023年11月7日、プレイできるリーグにJリーグが搭載され、PC、PS5をはじめとする複数のプラットフォームにて日本でも発売(※)された『FM24』は、どんな人におすすめなのか? そして、どんな人が『FM』シリーズの沼にハマるのか? シリーズ通算で数千時間(もしかしたら1万時間以上)プレイしている筆者が、自身の経験とアーリーアクセス版の実機プレイから、最新作『FM24』とシリーズの魅力を個人の視点で解説します。

なお、本記事はPC版を前提としていることをあらかじめご承知おきください。

※PS5、Switch、Xbox Series X|S、PCのダウンロード版は2023年11月7日発売。PS5、Switchのパッケージ版は2024年1月12日発売。また、PS5、Xbox Series X|S、PC版の価格は5990円[税込]、Switch版は4990円[税込]。

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データ好きなサッカーファンにはとくにおすすめ

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いきなり断言します。

  • 日々、海外のサッカーニュースをチェックしている
  • 選手の移籍市場をチェックしている
  • 頻繁にサッカー中継を見ている、もしくはサッカー観戦に行く

ざっくり言うと、上記すべてに当てはまる人、いわゆるサッカーファンに『FM24』はおすすめです。そのうえで、“膨大なデータを活用した無骨なシミュレーターが好み”であれば『FM24』にドはまりする可能性がより高くなります。気づくと数百時間プレイしていたなど、すさまじい時間泥棒っぷりを、のちのち実感することになるでしょう。

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選手データ画面。世界中のクラブの選手の能力を眺めているだけで、気づいたら数時間経っていた、なんてことが多々あります。

今作『FM24』から、プレイできるリーグにJリーグ(J1〜J3)が追加されたので、国内サッカーのファンも入りやすくなっています。

ただ、ゲーム自体はJリーグを含む世界のサッカーを対象にしており、サッカー界全体で見た場合、国内よりも海外のほうが圧倒的に規模が大きいため、海外サッカーにも興味があったほうが、より『FM24』を楽しめると思います。

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現実世界と同様にゲーム中でもハーランドが活躍している模様。こうした現実世界とのリンクや乖離をチェックできるのも、『FM24』ならではの魅力です。

全世界を対象に120以上のリーグでプレイ可能。欧州、南米、北米、アジア、アフリカなど、興味のある地域はどこでも問題ありません。国ごとにリーグ構成、リーグのルール、移籍のルール、出場できるカップ戦や大陸大会など、実際のサッカーに即してさまざまな点に違いがあり、クラブ単位でも規模やビジョンに差異があります。

ゲームを始める際、前回のプレイとは異なるクラブやリーグを選べば新鮮なプレイ感覚となることから、一生遊べるゲームとも言えてしまうほど。ただ、毎年どうしても新作のデータ(新シーズンのデータ)で遊びたくなるため、“シリーズを一生遊べる”と表現するほうが適切です。

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プレイヤー自身が監督として就任できるリーグを選択し、選択したリーグ数や選手のデータベースのサイズが登場選手数に影響します。これらの設定はプレイするハードのパフォーマンスに影響するので、推定ゲームスピードを★3以上に調整し、ストレスのないプレイ環境を構築することも重要です。

ドハマりするポイントを解説

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前提として、プレイヤーはサッカーチームの監督に就任します。トレーニング、戦術、試合、チームマネジメントの責任を担い、選手の移籍、スタッフの雇用、契約更新など、移籍予算や給与予算の管理も任されます。

スタジアムの拡張や提携クラブの提案など、いくつかの要望を役員会に出せるため、クラブ経営SLGの側面もあります。ですが、あくまでも監督業が主であると考えてください。ゲームジャンルとしては、監督業を軸としたサッカーシミュレーターという表現が妥当でしょう。

試合ごとに戦術を模索する

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監督業でもっとも重要なのはチームを勝利に導くことです。その目的を達成するために、チームの戦術を調整・決定していくことになります。まずは上の画面写真を参照しつつ、戦術画面の簡単な解説から。

‘’(1)戦術スタイル‘’
コントロールポゼッション、ゲーゲンプレス、ティキタカ、サイド攻撃、流動型カウンター攻撃、カテナチオなど、複数の戦術スタイルが用意されています。それぞれをカスタマイズすることも、イチから戦術を組み上げていくこともできます。

‘’(2)メンタリティー‘’
守備的、バランス重視、攻撃的など、全7種類から決定します。

‘’(3)ポゼッション時、トランジション時、非ポゼッション時‘’
試合中は大きく分けると3つの状況が想定でき、これらの状況ごとに戦術を設定できます。ショートパス主体にしたいのか、スペースを活用した中距離パスのダイレクトプレイを主体にしたいのか、深い位置で守ってカウンター攻撃を主体にしたいのか、ショートパス&高い位置でのプレッシングを主体にしてボール保持率を上げていくのかなど、プレイヤーが思い描く戦術を実現するために、詳細に調整していきます。

‘’(4)選手の役割‘’
上の画面写真でフォーメーションに配置されている選手を見ると、以下のような文字列が表示されています。

  • DLF-サ(ディープラインフォワード、サポート)
  • BBM-サ(ボックストゥボックスミッドフィルダー、サポート)
  • CD-守(センターバック、守備)

これらは選手ごとの役割とタスクを表しており、プレイヤーが任意に設定できます。

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選手の役割に関して、サイドバックの場合は6種類から選択でき、さらに守備やサポート、攻撃といったタスクの設定や個別の指示(例:もっと上がれ)のカスタマイズもできます。

つぎの試合で勝利するために、データアナリストからの報告や対戦チームの選手の能力などをチェックして、相手の強みや弱点を把握し、前述した自チームの戦術や先発メンバーを調整・決定していくわけですが、その際、以下のようなこと(一例)を考えたりします。

  • 相手チームはサイドの選手の能力が低い(サイドが弱い)ので、中距離のパスを活用したサイド攻撃を主体にしたいが、サイド攻撃の戦術スタイルは練習不足で習熟度が低い。
  • 自チームのサイドプレイヤーに強力な選手がいない。
  • 一方で、自チームはテンポの早いショートパス主体のスタイルに習熟している。
  • 自チームの強みを活かすか、それとも相手の弱点を突いていくか。また、アウェイ戦のため、リスクを抑える意味で守備的なメンタリティーでいくべきか、逆に攻撃的なメンタリティーで相手を圧倒することを目指すべきか。
  • 自チームの主力選手がケガで出場できないので、中央のミッドフィルダーに誰を起用するべきか。
  • つぎの試合までに3日しか空きがなく、主力選手の体調回復が間に合わない可能性があるが、強敵なのであえて主力を起用するべきか。ただ、そのつぎの試合も重要なので、今回はサブのメンバーを先発に起用するべきか。
  • 相手チームのフォワードは空中戦を得意としているため、センターバックにはジャンプ力に優れた選手を起用するべきか。ただ、攻撃的ミッドフィルダーのポジションにスピードがあってドリブルが得意な選手がいるため、高さと同時にスピードにも対応できる選手をセンターバックに起用したいが、そんな優秀な選手は自チームにはいないので、中盤の底を担当する選手に密着マークを指示して対応するべきか。
  • 最近、サブのメンバーをほとんど起用していないので、そのうち数人に不満がたまっている。フィットネスは十分ではないものの、不満解消も兼ねて先発起用するべきか。
  • 左サイドバックの選手が全員ケガしていて適切な代役がいないので、トップチームのメンバーのなかで左サイドバックが本職ではない選手を起用するべきか。もしくは、ユースやBチームのメンバーを起用するべきか。
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ケガやフィットネス不足、試合勘不足、士気の低下など、各選手はさまざまな状態で試合に挑むことになります。誰を試合に起用するか、毎試合悩みは尽きません。

来シーズンを見据えた戦力補強

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先述の内容はあくまでも例ですが、たった1試合でも、こうしたさまざまなことを考えるわけです。そして、試合単位ではなく、シーズン単位という広い視点で見た場合、つぎのようなこと(一例)を考えたりします。

  • プレイヤー自身が理想とする戦術を実践するにあたって、特定のポジションに適切な人材が足りない。
  • 理想の戦術ではないが、現有戦力の範囲で有効な戦術とフォーメーションを採用。ただし、特定のポジションの選手の実力は、依然として不足している。
  • 今シーズンで契約が切れる主力選手が多数いるが、契約更新をするにあたって給与予算が足りない。
  • 足りない給与予算を補うために、移籍予算を給与予算に回すことで対応。これにより、ある程度の契約更新ができるだけの給与予算は確保できたが、移籍金を支払って選手補強をする財力がなくなった。
  • 来シーズンに入るまで移籍予算に余裕がない。来シーズンに向けた今シーズン中の補強戦略は、今シーズンで契約が切れる選手を探し、移籍金なしで有力な選手を獲得する方法を採用。
  • スカウトにチームの戦力補強で必要なポジションを指示し、特定の地域やリーグを調査。数ヵ月かけて戦力として計算できる選手を見つけるが、所属リーグやクラブ自体の格が低く、契約を持ち掛けるにあたって、選手自身がそもそもプレイヤーのクラブとの契約に興味があるかどうかが不確か。
  • ようやく獲得交渉に応じてくれる選手を見つけたが、他クラブと競合する可能性がある状況。契約の選択肢が複数存在することから、選手側(代理人)は、契約条件を釣り上げてくる。
  • 移籍金なしの有力選手を獲得するうえで給与予算を多めに使うか、それとも既存戦力の契約更新を重視するか。給与予算のやりくりを検討。
  • 選手を放出することで移籍予算(給与予算)を増やすことを考えるが、買い手がなかなか見つからない。
  • 10台後半~20代前半の若手選手をトップチームの戦力に組み込んで試合に起用することで、能力の成長促進のほか、才能が開花して急成長する可能性がある。若手選手の育成を重視していくべきか。

こうした来シーズンを見据えた戦力補強や移籍市場の立ち回りを考えることも、『FM24』の監督業で欠かせない部分となります。

試合での采配

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試合当日は、先発メンバーと採用する戦術を決定し、試合直前にロッカールームで選手たちに激励を飛ばしてモチベーションを高めたうえで、ピッチに送り出します。

試合中は、選手の交代や戦術の微調整など、プレイヤーは監督として采配を振るうことになりますが、事前に想定しているとおりの試合展開になることはなかなかなく、相手チーム対策として行ったトレーニングや事前に準備した戦術が機能しないこともままあります。

試合展開を見つつ、機能していない部分に対して戦術変更や選手交代で対応したり、逆に効果的に機能しているスペースやサイドを見つけたら、そこを重点的に攻めたりと、フレキシブルな対応が采配のカギ。また、得失点の状況に応じて、戦術のメンタリティーを使い分け、ラインコントロールやプレスの頻度を調整したり……。

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試合中は、さまざまな要因によって選手のメンタルが変化。コンディション(体力)はケガなどのアクシデントが発生しない限り、試合が進むにつれて低下します。スタッツ(採点)を見ながら、選手が機能しているかどうかを判断します。

いわゆる私たちがサッカー観戦で見ていることを、監督として実践していきます。実際に采配してみると、思い描いたとおりに戦術が機能したりしなかったり。また、試合中にケガをした選手を交代させたり、カードをもらって選手が退場したりと、予想外のことも多々発生します。

模索の末にたどり着く喜び、そして『FM24』の沼へ

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ここまでで『FM24』のおおよその流れやプレイヤーの思考の例をざっくり解説しました。一見すると模索の連続かと思われるかもしれません。また、上記で解説した以外にも、日々のトレーニングや選手との関係構築、役員会からの要望の達成、メディア対応など、監督としてやらなければならないことは多数あります。

ちなみに、成績が悪いと役員会からの評価が下がり、状況次第ではクラブから解雇されてしまいます。解雇された場合は、浪人として他クラブの監督募集に応募することができ、浪人状態の継続も含めて、監督人生は続いていきます。

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雇用状況を確認できる画面。ジョブステータスが可のクラブに対して、監督募集に応募できます。

現有戦力において、この選手はボールウィニングの役割よりもボックストゥボックスのほうが機能するんじゃないか。それならば、4-3-3のフォーメーションで中盤の2枚のうち片方を担当させるのがよさそうだが、そうなると中盤の底には、攻撃のタクトを振るう役割の選手か守備的な役割の選手を置きたい。また、ボックストゥボックスの役割を担当する選手の相方として、中盤のもう一方のミッドフィルダーには、役割が被らないようにメッツァーラの役割の選手を置くべきか。だが、現有戦力に適切な能力を持った選手はいないので、4-2-3-1にしてトップ下を採用する形にし、中央のミッドフィルダーには、守備的な役割の選手を2枚置くべきか。ただ、それだと攻撃力が下がってしまう……。

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所属選手の能力を見て、彼らの能力が活きるフォーメーションや戦術を検討するわけですが、各ポジションの選手の能力の関係上、プレイヤー自身の理想を実現できないことも。

こんなことを考えて戦術の微調整を始めたら、『FM24』の沼にハマり始めた合図。ゲームを進めていると、ときには成績不振やケガ、選手の不満なども発生します。アクシデントにイラつき、苦悩するようになるのも、『FM24』沼の合図のひとつだと思ってください。

そして、来シーズンの体制や戦力補強、選手の売却、契約更新のほか、給与予算と移籍予算を考慮してポジションの補強を検討し、選手探しで他クラブをチェックし始めたら、いつしか数時間が経過……。『FM24』沼の深部へようこそ。

そうこうするうちに、仕事の合間や食事の最中、就寝前にも『FM24』のことを考えるようになり、何か思いついた際、ゲーム中ですぐに試したい気持ちが溢れてきて……。このサイクルが始まったら、もう数千時間プレイヤーへの道を歩み始めています。

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ゲームを終了する前に、戦術のこの部分だけは変更しておきたい、このトレーニング項目だけは修正しておきたい、調整した結果を見たいから寝る前にあと1試合だけ! 沼の典型例です。

1試合ごとに模索をくり返し、考え抜いて実践した戦術や采配がハマって勝利したときの確かな喜び。そして、シーズン単位での模索を経て構築したチームが長期的に機能し、リーグ優勝したときの喜びは、そうとうグッと来るものがあります。このように、模索→実践→結果というサイクルが、『FM24』をはじめとする『FM』シリーズにドハマりする最大のポイントだと、私個人は考えます。

これと並行して、若手選手を中心に選手の育成を進めていく点も個人的に非常にハマるポイントです。才能が開花して一流選手に育ったとき、チームは多大な恩恵を受けることになり、監督自身が育てたという点でも感慨深い事例となるでしょう。

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スペインの3部リーグ相当に所属するデポルティーボ・ラ・コルーニャでプレイし、カップ戦で1部リーグ所属のアトレティコ・マドリードに勝利。ジャイアントキリングが起きやすいカップ戦ならではの光景ですが、練り上げた戦術が機能したこともあって、感動はひとしお。

なお、戦術の詳細設定のほか、選手獲得・放出、契約更新など、さまざまな要素をプレイヤー自身がすべて行わなければゲームが進まない、楽しめない、なんてことはありません。また、ゲーム自体の敷居が高いと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

アシスタントマネージャーやスポーツディレクター、テクニカルディレクターなどのスタッフに大半の業務を委任できるので、初心者の方は委任機能を使って、まずはゲームの流れや概要を把握するのがいいと思います。そのうえで、ゲームを理解してきたら、気になった部分(例:選手の獲得・売却交渉や契約更新)からプレイヤー自身で担当してみるのがおすすめ。

最初からゲーム中の要素をすべて把握するのは非常に難しいので、全部理解しようとせず、チュートリアルを参考にしながら、ちょっとずつ自身が関与する領域を広げていってみてください。

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チームマネジメントの大半の部分はスタッフに委任可能。ゲームの理解度が低いうちは、スタッフへ委任する部分を増やしましょう。現実のサッカーでは役割の細分化が行われており、それをゲーム中でも体現する形にもなります。

このコーナーの最後に、『FM』シリーズのすごいところであり、サッカーファンがハマりそうなポイントをひとつ紹介しておきます。それは、今後現実のサッカーで大活躍し、有名になりそうな若手選手(架空選手を除く)をゲーム中で見つけられるという点です。

『FM』シリーズには、全世界にリサーチャーと呼ばれるスタッフが1400人以上いて、彼らは、選手の実能力や潜在能力を日々リサーチしているそうです。そして、調査した選手の能力は、毎作品ゲーム中に反映されています。

代表的な例としては、バロンドールを8回獲得したメッシ。初登場が何作品前だったかは忘れてしまいましたが、まったくもって有名ではなかったその昔。筆者は現実世界のメッシの存在を10台前半から情報として知っていたので、ゲーム中で獲得して、しっかり育ててみたところ、一流選手とはいかないまでも、優秀な選手と言えるレベルまでは育ちました。その後、シリーズを重ねるごとに実能力と潜在能力がどんどん高くなり、あるときから文句なしに世界最高クラスの能力を保有するまでに。

メッシは極端な例ですが、まだ無名だが、今後数年で大活躍する可能性のある選手をゲーム中で見つけて、現実のサッカー界で活躍する日を数年単位で待ち続け、日々情報を追っていくというのも、『FM』シリーズならではのハマるポイントだと思います。

あと、とあるプロの監督が、『FM』シリーズを参考にして選手獲得を検討したことがあるという話が、一時期『FM』界隈で話題になりました。こうしたことも『FM』シリーズの選手リサーチ能力の高さを表している一例でしょう。

いわゆる現実のサッカーとのリンク具合が、サッカーファンにとって楽しいというお話でした。

ロールプレイのすすめ

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『FM』シリーズは、基本的な画面構成がシンプルかつデータの羅列であり、イベント自体も突飛なものがないことから、プレイヤー自身の脳内で情景を想像し、補完していくことをおすすめします。

言い換えると、ロールプレイを実践することで、ゲームをさらに楽しめるようにもなります。ここではロールプレイの例をいくつか紹介していきます。

現実のサッカーで好きなクラブ、好きな選手が所属しているクラブに就任

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リアル世界のサッカーで好きなクラブがある方は、そのクラブの監督に就任してみるのはいかがでしょうか。

知っている選手がいることで思い入れが増し、生え抜き選手を大切にしたり過去に功績のあった選手を移籍市場で獲得したり、クラブの歴史や文化を大切にしたりと、楽しさに大きなプラス補正がかかることでしょう。好きな選手が所属しているクラブへの監督就任にも似たような楽しさがあります。

過去の栄光を取り戻す

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十数年前まではトップリーグに所属していて、チャンピオンリーグにも出場していたクラブが下部リーグに降格し、何年も昇格できずにもがいているケースがあります。そんなクラブを立て直す、いわゆる過去の栄光を取り戻す的なロールプレイ。

監督としてクラブの強化に邁進することはもちろん、過去の栄光を知る引退した選手がフリーのスタッフになっているケースもあるので、そうした人物を積極的に雇用します。クラブ情報画面で、レジェンドや主な歴代選手、お気に入りの人物をチェックし、さらに好きなクラブで検索すると、気になる人物が見つかると思います。

ユース出身縛り、出身地縛り、国籍縛り

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単なる縛りプレイに見えますが、そうではありません。現実のサッカーでは、バスク人縛りをいまでも実践しているアスレティック・ビルバオが代表例。クラブのユース出身者を軸とする、地域密着型のロールプレイとなります。

この路線をさらに突き詰めるのであれば、ゲーム中で選手の出身地を検索できるので、この機能をフル活用して、特定の出身地の選手を重点的に集めるスタイルもありです。

超弱小クラブでスタート

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下部リーグからのスタートですが、さらにセミプロのクラブで開始。パートタイム契約の選手が大半で、プレイヤーである監督自身のキャリアも国内C級ライセンス&アマチュア選手出身に。たとえば、イングランドの6部リーグ相当に所属するクラブでスタートし、プレミアリーグを目指していく立身出世物語は、まさにロールプレイにうってつけです。

クラブが強くなって上位リーグに進むにつれ、監督の評価が高まっていくと思われるので、上位リーグのクラブから引き抜きのオファーが来ることも。そのとき、プレイヤー自身の立身出世ロールプレイに切り替えるかどうか、悩みどころです。

実際のサッカーの試合を見てゲーム中で戦術を実践

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サッカー中継を見つつ戦術的な解説を聞き、効果的に機能していた戦術をゲーム中で実践してみるスタイルです。代表的なところだと、サイドバックが中盤の中央に移動してビルドアップに積極的に関与するシステムや、数年前に流行った偽フォワードのシステムが該当します。

また、そのレベルではなくとも、たとえば、現実のサッカーで美しいカウンターが決まったシーンを見て、それをゲーム中で実践してみるというのもおもしろいでしょう。厳密にはロールプレイではないかもしれませんが、参考までに。

シリーズ初心者向けのゲーム開始直後攻略

シリーズ初心者に向けて、ゲーム開始直後にやっておきたい、ちょっとした攻略情報をお届けします。就任するクラブやクラブの財政状況によっては、不要なケースもありますので、その点は適時使い分けてください。

移籍予算と給与予算の調整

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財務状況画面の右側にある予算を調整という項目を活用すれば、移籍予算と給与予算の割合を調整できます。クラブビジョンの画面にて、役員会からの要望で給与予算を守るという目標があった場合、予算超過状態を解決するうえで役立ちます。

給与予算を増やすことは、今シーズンで契約が切れる選手との契約更新のほか、契約満了間近の他クラブの選手との契約、新規スタッフとの契約でも活用できます。なお、今シーズンで契約が切れる自クラブの選手(期待の若手選手や主力選手)との契約更新は、ゲーム開始後、早い時期に済ませるのが理想です。

コーチの仕事の割り振りを変更

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トレーニング画面の上部でコーチを選択し、そこで仕事の割り当てを編集という項目を選ぶと、コーチごとに担当トレーニングを変更できます。ここで、トレーニングの各項目の★の数がなるべく多くなるように調整し、★の数が少ない項目については、新規スタッフ(コーチ)の採用を検討しましょう。トレーニングの各項目に影響する能力は、画面下部の能力値が表記されているところで明るくなっているものが該当します。

新規スタッフの雇用

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トレーニングにおいて★の数が少ない項目を担当させるコーチのほか、選手の実力判定と選手の潜在能力判定の能力が高いスカウト、パフォーマンスアナリスト、採用アナリスト、フィジカルトレーナー、スポーツ科学者など、クラブに不足しているスタッフを雇用しましょう。

スタッフ画面からスタッフ検索を選択し、検索条件を編集という項目を選んで、該当する職種を決定します。そのうえで、画面中央左上のボタンから、コーチング能力値、医療チーム能力値、メンタル能力値の画面を使い分けて、必要な能力が高いスタッフを選別し、契約を持ち掛けます。

フリーのスタッフには他クラブからオファーが舞い込んでくるので、雇用に際しては早い者勝ちの側面があります。言い換えると、ゲーム開始直後は雇用のチャンス。なお、シーズン途中や新シーズン開始のタイミングで、優れたコーチがフリーになるケースがあるので、適時チェックするといいでしょう。

画面に表示させる項目の追加と削除

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厳密には攻略ではありませんが、快適なプレイを実現するうえで役に立つ、ちょっとした情報です。『FM』シリーズは、メニューごとに画面構成が異なり、そこに表示されている情報だけだと、情報不足に陥るケースがしばしばあります。

たとえば、上の画面写真の場合、デフォルトだと右端の項目の満了日(契約期間満了日)が表示されません。そもそもこの画面は、気になる選手をリストアップしておくショートリスト。今シーズンで契約が満了する選手を一目で把握するうえで満了日の表示を追加しておけば、ソートする際に有効活用できます。

このように、画面ごとに表示項目をカスタマイズして、使いやすい画面構成に整えるのがおすすめです。

前作『FM23』からの変更点や新要素の所感

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最後に、前作『FM23』からの変更点や新要素のうち、セットプレイと選手売却の仲介人について、実際に触ってみた所感をお届けします。シリーズ経験者向けの内容となりますが、筆者自身のプレイ時間は原稿執筆時点で100時間未満と、プレイ時間がまだまだ短いことから、あくまでも現時点の所感としてご覧ください。

セットプレイの設定、セットプレイコーチ

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『FM23』まではセットプレイの設定がかなり面倒でしたが、『FM24』では一新されています。ストレートに言うと、便利かつ有用になりました。

仕様を説明すると、守備・攻撃のそれぞれにおいて、担当させる役割(セットプレイ要員)に対して優先順位をつけられ、その優先順位はリストで管理されます。試合中はリストの優先順位に応じて、出場選手にセットプレイ要員の役割が自動的に割り振られる形です。

また、リストの優先順位はデフォルトだと特定の能力値を参照して設定されます。上の画面写真を参考に説明すると、空中戦ディフェンダーであれば、ジャンプ、強靭さ、ポジショニングの能力値の合計が基準となり、リスト内でデフォルトの優先順位が設定される仕組みです。言い換えると、PKやフリーキック、スローインの優先順位設定と同じ仕組みが採用されたと考えてください。

なお、『FM24』の新要素として、セットプレイコーチが実装されました。このコーチに管理を委任することで、セットプレイ要員やセットプレイキッカー・スロワーの優先順位リストだけでなく、セットプレイ自体の戦術管理も任せられます。

戦術管理にはコーチのセットプレイのスタイルが影響するようで、狙うエリア:ニアポスト、マーキング:ゾーンなど、コーチのセットプレイのスタイルが試合中にも反映される仕組みになっているようです。セットプレイの戦術管理を委任する場合、雇用するセットプレイコーチを探す際は、能力値だけでなくセットプレイのスタイルも見ていく必要があるわけです。

選手売却の仲介人

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『FM24』では、選手売却においてTransferRoom経由のオファー(前作までの他クラブへのオファーと類似)とは別に、選手売却のために仲介人を雇うことができるようになりました。これを活用すると、手数料を支払うことで仲介人が選手の売却先を探してきてくれます。

筆者がプレイした感触としては、TransferRoom経由の売却と比較した場合、けっこうな額の手数料を仲介人に取られてメリットがない印象でしたが、あまりにも売れない選手がいるときは活用できそうです。ただ、この新要素については、もっと活用してみないことには、ちゃんとした所感がつかないところでもあります。